会長就任の中間総括と今後

東京税理士会 会長 神津信一

 平素から時代を拓く税理士の会の皆様方には多大なご支援をいただき有難うございます。

 

 昨年の東京会総会後から、拓く会のご推薦により山川執行部を引き継ぎスタートしてから、6月には最初の総会を迎えます。 3.11大震災対応に重点を置き、税理士法改正、税制改正、及び会務のイノベーション(改革)と全力で取り組みましたが、2010年11月の公示にあたりマニュフェストに掲げました項目を検証いたします。(検証は、本来第三者が客観的に行うべきですが、広報の依頼により今回は自己検証致します。)


【検証1】税理士法改正に取り組みます

 資格取得を中心とする改正17項目のについては、現在行政との勉強会が進んでおり、7月には論点整理が公表され、9月に改正要望を日税連理事会決議、法案準備、来年3月通常国会提出というスケジュールです。
 震災の影響で当初予定より1年延長やむなしとなりましたが、24年税制改正大綱には踏み込んだ内容での記載を求め、税政連と一体になって活動を行った成果が出ました。本年25年大綱には、法改正の具体的内容記載が行われるように、与党、野党、及び隣接士業の理解を求める活動を行います。
 予断を許せない一番の懸念は、国会が不安定なことです。難関は秋以降に待ち受けていますが、一致団結して乗り越え、改正実現を目指します。


【検証2】公平公正な租税制度確立する

  国税通則法は、成立以来60年振りの大改正が行われました。税理士会が長い間要望してきた、「更正の請求期間は一年で、それ以前は嘆願によることを改め、請求期間を5年に延長すること。全ての処分に理由附記を行うこと。調査には事前通知を行うこと。」等が改正され大きな成果が得られました。ただし、野党の反対を主な原因として、納税者の権利を通則法に明記すること、及び権利憲章を制定することは、附帯決議となり今後の課題となりました。
 今回改正は中間地点ととらえ、更なる努力をいたします。旧法では事前手続、及び調査中の手続の多くが運営指針、並びに慣習で行われてきた事について、法令での規定になりました。これらの実務適用が納税者の利便となるように注視しなければなりません。
 この大改正を生かすも殺すも、税理士次第であるととらえます。
 さらに野田内閣は、「社会保障・税一体改革」を提言し、その一環としてマイナンバー法を国会上程しました。常務理事会、関連所掌部、委員会での議論、拡大した役員レベルでの勉強会、及び支部長・理事合同会議での議論を行い、我が国の重大な転換点にある税政の改正について、東京会全体で思考することを行いました。
 今までの税理士会はどちらかというと受動的でしたが、納税者、国民、国に求められているのは、提言する能動的な税理士会です。


【検証3】電子申告を常態にする

  電子申告は税理士に「特権」的な地位が与えられ、電子政府推進の中で税理士に期待されている役割は大きいものがあります。しかし、東京税理士会はまだまだ全国では後塵を拝する状態です。税理士であれば電子認証カードを全員が持つべきであると捉え、毎年900名近く登録する新規入会会員に証票交付の現場で行うことを行う施策を講じたところ、一定の成果があがりました。今後も更なる普及推進に努めて参ります。


【検証4】税務支援事業について

 マニュフェスト提案時に、3.11は予想すらしませんでした。昨年11月には「東京に避難されている方々に税務支援を」という一環で東京各地に相談所を設け、支部の全面的なご協力を得て、事業を行い一定の成果を得ることが出来ました。確申期には新宿、四谷支部協働で被災者支援を行い、実を上げることができ、仙台にも相談員を派遣いたしました。その他、延べ1万人以上会員の応援を得て、援助業務を行いました。今後も独自事業を中心とした事業を推進いたします。

 

【検証5】会務の刷新について

 税理士制度は代理士法から70周年を迎えました。
 制度は常に変革しないと発展は望めません。本会も肥大化する会員数に対応できる組織改革が求められ、部・委員会を横断する施策の立案、会務のスリム化と活性化という任務を負う特別委員会を立ち上げ、本年度は役員選挙制度の改正を提案しました。
 次は、部委員会等組織の改革を模索いたします。
 さらに、次世代の人材育成セミナーを企画し、本年度より試行的に行っており、52名の登録者が毎回興味深い議論を展開しております。
 塾生の皆さんの旺盛な議論に、教授も大乗りで、新事業年度につながることと確信いたします。出席者を拝見していると「税理士のレベルは高い」と感心しますが、次期は9月ごろ開講、個人でのエントリー可能な塾といたしますので応募お待ちしています。
 執行部一丸となり、 東北復興を支援し、都心直下型地震にも備え、拓く会との連絡をみつに行い、日税連でのリーダーシップを発揮し、本会会員の期待に応えてまいりますので、ご支援よろしくお願いします。